歌う風

折々の短歌を書いていきます。

飛行雲   千葉甫

chibahajime

たまたまに見上げた私だけが見る音無く伸びている飛行雲


花の名を知らないままに目をやって今日も楽しむ通り抜けつつ


卓上の本のページに降りてきた紋白蝶と暫く憩う

蝉の声   千葉甫

chibahajime


窓近く来た一匹の蝉の声 心細げに鳴き終えて去る


ゆるやかに雷鳴一つあった後 雲は薄れる降らないままに


目が覚めるたびに視線をやる時計 遅々と進んでいる熱帯夜

今日も猛暑日

chibahajime

あと一歩進めば開く自動ドア透して灼けた街路見つめる


新聞の二ページ占める広告のおせち一瞥 今日も猛暑日


突き当りの通りをよぎるサイレンのふっつり絶えて暑さは募る